大規模修繕工事は、マンションの資産価値維持・向上に欠かせない重要な工事です。
しかし、契約に関する手続きや注意点が多く、管理組合関係者にとっては複雑で不安を感じる場面も多いのではないでしょうか。
特に、契約書の内容やトラブル回避策については、専門的な知識が必要となるため、慎重な対応が求められます。
今回は、大規模修繕工事契約における基本的な流れから、契約書作成のポイント、そしてトラブルを防ぐための対策まで、分かりやすく解説します。

大規模修繕工事契約の基本と流れ

契約締結前の準備

大規模修繕工事契約を締結する前に、綿密な準備が必要です。
まず、工事の必要性や範囲を明確に把握するために、建物の現状調査を実施しましょう。
専門業者に依頼して、建物の劣化状況や必要な修繕内容を詳細に診断してもらうことが重要です。
診断結果に基づき、修繕計画を策定し、管理組合員への説明と合意形成を図る必要があります。
この段階で、工事予算についても検討し、管理組合の財政状況との整合性を確認しておきましょう。
また、工事期間やスケジュールについても、事前に検討しておくことで、スムーズな工事進行に繋がります。

工事内容の明確化

工事内容を明確化することは、契約トラブルを防ぐために非常に重要です。
そのためには、詳細な仕様書や設計図の作成が不可欠です。
仕様書には、使用する材料や工法、品質基準などを具体的に記載し、設計図には、工事範囲や詳細な図面を明示する必要があります。
これらの書類は、施工業者との間で共有し、内容について十分な確認を行うことが大切です。
曖昧な表現や解釈の余地のある記述は避け、可能な限り具体的な表現を用いることで、後々のトラブルを予防できます。

契約書の確認事項

契約書は、工事内容、請負代金、工期、支払方法、保証期間、違約金など、重要な事項が記載されている重要な書類です。
契約書に署名・捺印する前に、記載内容を十分に理解し、不明な点があれば、施工業者に質問し、納得がいくまで説明を受ける必要があります。
特に、工事請負契約約款の内容を理解し、契約不適合責任や保証期間に関する規定をしっかりと確認しましょう。
契約書に記載されている全ての項目について、管理組合員全員が理解し、合意していることを確認することが大切です。

契約締結後の手続き

契約締結後も、施工業者とのコミュニケーションを密にすることが重要です。
工事の進捗状況を定期的に確認し、問題が発生した場合には、速やかに対応する必要があります。
また、工事完了後には、完成検査を行い、工事内容が契約書の内容通りに施工されているかを確認しましょう。
必要に応じて、専門業者に検査を依頼することも有効です。

大規模修繕工事契約 何が正しい契約書作成のポイント

工事請負契約約款の理解

工事請負契約約款は、工事請負契約の基本的なルールを定めたものです。
契約書に約款を準拠すると明記されている場合、約款の内容が契約の一部となります。
そのため、約款の内容を理解することは、契約締結前に非常に重要です。
特に、民法改正による契約不適合責任の変更点や、保証期間に関する規定をしっかりと把握しておきましょう。
約款に不明な点があれば、専門家に相談するのも良いでしょう。

民法改正と契約不適合責任

2020年4月の民法改正により、瑕疵担保責任から契約不適合責任へと変更されました。
契約不適合責任は、引き渡し後2年以内に不適合を発見した場合に、履行の追完、代金の減額、損害賠償などを請求できる制度です。
ただし、工事請負契約約款に別途規定がある場合は、約款の規定が優先されます。
契約書に記載されている保証期間と契約不適合責任期間の整合性を確認し、必要に応じて、契約書に明確な記載を追加するなどの対応が必要です。

保証期間とアフターサービスの確認

契約書には、工事内容ごとに保証期間が明記されているはずです。
保証期間内であれば、施工不良などが発生した場合、無償で修繕を受けることができます。
保証期間の長さや範囲は、工事内容によって異なるため、各項目について、しっかりと確認しましょう。
また、保証期間後のアフターサービスについても、契約書に明記されているか確認し、必要に応じて、具体的な内容を契約書に追記するなどの対応を検討しましょう。

紛争解決のための条項

契約締結後、何らかのトラブルが発生した場合に備えて、紛争解決のための条項を契約書に明記しておきましょう。
例えば、紛争発生時の対応手順や、仲裁機関の利用などについて、具体的に記載しておくことが重要です。
トラブル発生時の対応を事前に明確にしておくことで、円滑な解決に繋がります。

契約書に記載すべき重要な項目

契約書には、工事内容、請負代金、工期、支払方法、保証期間、違約金、損害賠償責任、紛争解決方法、契約解除に関する規定など、重要な事項が網羅的に記載されている必要があります。
また、図面や仕様書、工事費内訳明細書なども契約書に添付し、内容の整合性を確認する必要があります。

 

契約トラブルを防ぐために

専門家への相談

契約締結にあたっては、弁護士や建築士などの専門家に相談することが有効です。
専門家のアドバイスを受けることで、契約書の内容をより深く理解し、リスクを回避することができます。
特に、複雑な契約内容や、専門的な知識が必要な事項については、専門家の意見を参考にしましょう。

記録の保管

契約書や見積書、図面、仕様書、工事の進捗状況に関する記録などは、大切に保管しましょう。
トラブル発生時には、これらの記録が証拠となります。
デジタルデータで保存する場合には、データのバックアップも忘れずに行いましょう。

定期的な確認と連絡

工事期間中は、定期的に施工業者と連絡を取り合い、工事の進捗状況を確認しましょう。
問題が発生した場合には、速やかに対応することで、大きなトラブルに発展するのを防ぐことができます。

問題発生時の対応

工事中に問題が発生した場合には、冷静に状況を把握し、施工業者と協議を行い、適切な解決策を検討しましょう。

 

まとめ

大規模修繕工事契約は、マンション管理組合にとって重要な事項です。
契約締結前には、建物の現状調査、修繕計画の策定、業者選定、契約書の内容確認など、綿密な準備が必要です。
契約書には、工事内容、請負代金、工期、保証期間、紛争解決方法などが明確に記載されている必要があります。
また、民法改正による契約不適合責任の変更点にも注意が必要です。
トラブルを回避するためには、専門家への相談、記録の保管、定期的な確認と連絡、問題発生時の適切な対応が重要となります。
本記事で解説した内容を参考に、安心して大規模修繕工事を進めてください。


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