賃貸アパート経営において、大規模修繕は避けて通れない課題の一つです。
建物の老朽化を防ぎ、入居率を維持するためには、適切な時期に適切な修繕を行うことが不可欠です。
しかし、「いつ、どんな内容の工事が必要なのか」具体的なイメージが湧かず、不安を感じているオーナー様も多いのではないでしょうか。
この記事では、アパート大規模修繕の時期や内容、そしてその重要性について解説していきます。
□アパート大規模修繕の時期はいつ?12年周期の理由
賃貸アパートのオーナーにとって、大規模修繕は、建物の価値を維持し、安定した賃貸経営を続けるために欠かせないものです。
一般的には、12年周期で実施することが推奨されていますが、なぜ12年なのでしょうか。
その理由と具体的な内容について解説していきます。
1: 国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」の影響
国土交通省が2008年に策定した「長期修繕計画作成ガイドライン」は、マンションの快適な居住環境確保と資産価値の維持・向上を目的としています。
このガイドラインでは、建物の経年劣化に対して適切な修繕を行うことの重要性を説き、長期修繕計画の作成と修繕積立金の積み立てを推奨しています。
そして、計画期間の設定について、外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕工事の周期は「一般的に12~15年程度」と記されています。
このことから、12年周期で長期修繕計画を作成することが一般的になったと考えられます。
2: 建築基準法施工規則の改正の影響
2008年4月1日に建築基準法施工規則が改正され、築10年を経過した外壁がタイル貼りのマンションは、築13年になるまでに外壁の「全面打診調査」が義務付けられました。
全面打診調査とは、タイルを叩いて浮きなどがないか、外壁の劣化具合を確認する調査です。
調査のために足場をかけるのであれば、大規模修繕を実施したほうが費用面でも効率的です。
このことから、築12年で大規模修繕を行うマンションが増え、12年周期が定着したと考えられます。
3: 12年周期はあくまでも目安
12年周期はあくまでも目安であり、建物の状態や立地条件によって、12年を待たずに大規模修繕が必要になる場合もあります。
逆に、特に大きな問題がなければ、12年を超えて実施する場合もあります。
大切なのは、建物の状態を定期的に確認し、適切な時期に適切な修繕を行うことです。
□アパート大規模修繕の工事内容
アパートの大規模修繕では、建物の状態や劣化状況に応じて、さまざまな工事が行われます。
一般的な工事内容としては、外壁塗装、屋根塗装、鉄部塗装などがありますが、状況に応じてベランダ防水工事や外壁張り替えなどが必要になる場合もあります。
それぞれの工事内容について解説していきます。
1: 外壁塗装
外壁塗装は、建物の外観を美しく保つだけでなく、雨水や紫外線から壁材を守り、劣化を抑制する効果があります。
外壁のひび割れや剥がれを補修することで、建物の耐久性を向上させることも可能です。
外壁塗装の周期は、約10~15年ごとが目安です。
2: 屋根塗装
屋根は、風雨や直射日光に直接さらされるため、定期的な塗装が必要です。
屋根塗装は、防水性を向上させ、雨漏りを防止する効果があります。
また、屋根材の劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばす効果も期待できます。
屋根塗装の周期は、約10年ごとが目安です。
3: 鉄部塗装
手すりや階段、ベランダなど、鉄製の部材は、錆びや腐食が発生しやすいです。
鉄部塗装は、錆び止め効果があり、建物の安全性を確保する上で重要な工事です。
鉄部塗装の周期は、約5~10年ごとが目安です。
4: ベランダ防水工事
ベランダは、雨水や排水が溜まりやすく、防水層が劣化しやすい場所です。
ベランダ防水工事は、防水層を補修し、雨漏りを防止する効果があります。
ベランダ防水工事の周期は、約10~15年ごとが目安です。
5: 外壁張り替え
外壁の劣化がひどい場合は、塗装ではなく張り替えが必要となることがあります。
外壁張り替えは、断熱性や遮音性を向上させる効果も期待できます。
外壁張り替えは、大規模な工事となるため、費用も高額になります。
□アパート大規模修繕が重要な6つの理由
アパートの大規模修繕は、単に建物を綺麗に保つだけでなく、賃貸オーナー様にとって様々なメリットがあります。
適切な時期に適切な修繕を行うことで、入居率の向上、資産価値の維持、事故の防止など、長期的な安定経営に繋がる様々なメリットをもたらします。
具体的な理由を6つに分けて解説していきます。
1: 入居率向上
大規模修繕によって、アパートの外観や居住性が改善され、入居率が向上します。
築年数が経過したアパートでも、適切な修繕を行うことで、新築時のような美観と快適な居住空間を提供できます。
入居率の向上は、安定した家賃収入に繋がるため、賃貸オーナー様にとって大きなメリットとなります。
2: オンラインでの客付けで有利になる
近年、賃貸物件の情報収集には、インターネットが広く活用されています。
オンラインでの客付けでは、建物の外観や付帯設備などの写真が重要な役割を果たします。
メンテナンスが行き届いていない物件は、写真を見ただけで敬遠されてしまう可能性があります。
適切な大規模修繕を行うことで、築年数が古いアパートでも、オンラインでの客付けで有利になるでしょう。
3: 減価償却の対象になる
大規模修繕にかかった費用は、物件の価値を向上させる資本的支出とみなされ、減価償却の対象になります。
減価償却は、不動産所得から一定額を控除できる制度であり、節税効果が期待できます。
4: アパートの資産
価値を維持できる
適切な修繕を行うことで、建物の劣化を抑え、資産価値の維持に繋がります。
将来、アパートを手放す場合にも、高値で売却できる可能性が高まります。
5: 事故を防止できる
築年数が経過した建物は、老朽化によって事故が発生するリスクが高まります。
大規模修繕によって、外壁の剥離や手すりの破断などの事故を防止できます。
事故発生は、賃貸オーナー様にとって大きな損失となるため、事故を未然に防ぐことは非常に重要です。
6: アパートの稼働年数を伸ばせる
定期的な大規模修繕によって、建物の寿命を延ばし、アパートの稼働年数を伸ばすことができます。
賃貸経営は、長期的な安定性と継続性が重要です。
適切な修繕を行うことで、長く稼働させ、安定した収入を得ることが可能になります。
□まとめ
この記事では、アパート大規模修繕の時期、工事内容、そしてその重要性について解説しました。
賃貸オーナー様にとって、大規模修繕は、建物の価値を維持し、安定した賃貸経営を続けるために欠かせないものです。
適切な時期に適切な修繕を行うことで、入居率の向上、資産価値の維持、事故の防止など、様々なメリットがあります。
建物の状態を定期的に確認し、適切な時期に適切な修繕を行うことで、安心して賃貸経営を続けられるようにしましょう。
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