建設現場の安全対策において、足場の設置は最も重要な要素の一つです。
特に近年では、労働基準法の改正に伴い、足場の設置基準が厳格化され、現場での安全対策がより一層求められています。
2024年4月以降、建設現場では原則として本足場の使用が義務化され、2025年10月1日からは足場点検時の点検者指名と記録保存も義務化されます。

本記事では、労働基準法改正に基づく足場の設置基準を解説します。

□労働基準法足場設置基準|本足場設置の義務化

2024年4月以降、建設現場では、原則として本足場を使用することが義務化されました。
これは、従来の一側足場と比べて、作業員の安全性を高め、墜落事故のリスクを大幅に低減できることから、労働基準法で義務付けられたものです。

1: 本足場の義務化の背景

本足場が義務化された背景には、近年増加している建設現場での墜落事故による労働災害の深刻化があります。
厚生労働省の統計によると、建設現場での墜落事故による死亡者は、近年増加傾向にあり、労働災害全体の約3割を占めています。
この現状を踏まえ、労働基準法改正により、足場の設置基準を強化し、墜落事故のリスクを低減することが急務となりました。

2: 本足場とは

本足場とは、建築物の外壁面等に沿って、建地(支柱)を二列設置して組み立てる足場のことを指します。
二側足場と呼ばれることもあり、足場の基本形として広く使われています。

3: 本足場のメリット

本足場は、一側足場と比べて、以下のメリットがあります。
・作業床が広く、作業スペースが確保できる
・手すりを設置できるため、墜落防止効果が高い
・構造的に安定しており、安全性の高い足場

4: 本足場の義務化対象

2024年4月以降、建設現場では原則として、建築物外面からの幅が1m以上確保できる箇所では本足場の使用が義務化されます。
ただし、以下の場合は、本足場の使用が義務付けられない場合があります。

・つり足場を使用する場合
・障害物の存在等で本足場を設置することが困難な場合

5: 本足場の設置義務化による現場への影響

本足場の設置義務化により、現場では以下の影響が考えられます。

・足場設置費用が増加する
・足場設置工期が長くなる
・作業スペースが狭くなる

6: 本足場の設置義務化に対する対応

本足場の設置義務化に対応するためには、以下の対策が必要です。

・労働安全衛生法の改正内容を理解し、法令遵守を徹底する
・安全対策を強化し、作業員の安全確保を図る
・足場設置費用や工期の増加を考慮し、工程管理を適切に行う

 

□足場点検の徹底|点検者の指名と記録の義務化

2025年10月1日以降、足場の点検を行う際には、点検者を指名し、その氏名を記録・保存することが義務付けられます。
これは、足場の安全性を確保し、墜落事故を未然に防ぐための重要な対策です。

1: 点検者の指名と記録保存の必要性

足場点検は、作業員の安全確保にとって非常に重要な役割を果たします。
足場が劣化したり、破損したりしていると、作業員が墜落する危険性が高まります。
そのため、定期的に点検を行い、安全性を確認することが不可欠です。

2: 点検者の資格

足場の点検を行うためには、足場に関する知識を有し、安全点検を実施できる者である必要があります。
厚生労働省では、「足場からの墜落・転落防止総合対策推進要綱」において、点検者の資格について、以下の項目を挙げています。

・足場の組立て等作業主任者であって、足場の組立て等作業主任者能力向上教育を受講している者
・労働安全コンサルタント(試験の区分が土木又は建築である者)等の労働安全衛生法第88条に基づく足場の設置等の届出に係る「計画作成参画者」に必要な資格を有する者
・全国仮設安全事業協同組合が行う「仮設安全監理者資格取得講習」
・建設業労働災害防止協会が行う「施工管理者等のための足場点検実務研修」

3: 点検項目

足場点検では、以下の項目について、慎重に確認を行う必要があります。

・足場材の破損や腐食
・足場の固定状態
・手すりや足場の床材の強度
・足場周辺の安全対策

4: 点検記録の保存

点検者は、点検結果を記録し、保存する必要があります。
点検記録には、以下の項目を記載する必要があります。

・点検日時
・点検場所
・点検者氏名
・点検内容
・点検結果
・必要な改善措置

5: 点検記録の活用

点検記録は、足場の安全管理を行う上で非常に重要な資料となります。
点検記録をしっかりと作成・保存することで、以下の効果が期待できます。

・足場の安全性を維持し、墜落事故を予防
・過去の点検結果から、足場の劣化傾向を把握し、適切なメンテナンスを実施
・労働災害発生時の原因究明に役立てる

 

 

□足場組立の注意点|労働安全衛生規則に基づく具体的なポイント

足場の組立や解体、変更を行う際には、労働安全衛生規則に基づき、具体的な注意点を守ることが重要です。
これらの注意点を守らないことで、作業員の安全が脅かされ、墜落事故が発生する可能性も高まります。

1: 足場材の選定

足場材は、強度や耐久性に優れたものを使用し、安全な足場を構築することが重要です。
また、足場材の選定にあたっては、以下の点に注意する必要があります。

・足場材の規格や品質が、労働安全衛生規則に適合していることを確認する
・足場材に、著しい損傷や変形、腐食、虫食いなどの異常がないことを確認する
・足場材の保管状態が適切であることを確認する

2: 足場の幅

労働安全衛生規則では、足場の幅について、以下の基準が定められています。

・2mを超える高所で一側足場以外の足場を組む場合、足場の幅は40cm以上にすること
・足場の幅が狭すぎると、作業員が転落する危険性が高まるため、適切な幅を確保することが重要です。

3: 床材の隙間

足場の床材の隙間は、作業員の足が挟まったり、工具が落下したりするのを防ぐため、3cm以下にする必要があります。

4: 床材と建地の隙間

床材と建地の隙間は、作業員が転落するのを防ぐため、12cm未満にする必要があります。

5: 落下防止対策

足場の組立作業では、落下防止対策が非常に重要です。
以下の対策を実施することで、作業員の安全を確保することができます。

・高さ10cm以上の幅木を設置する
・メッシュシートや防網を設置する
・安全帯や安全ロープを使用する

6: 足場材の緊結

足場材を緊結する際には、しっかりと固定し、足場が倒壊しないように注意する必要があります。

7: 足場材の取り外し

足場材を取り外す際には、作業員が落下しないように注意する必要があります。
足場材の取り外し作業は、安全な方法で、熟練した作業員が行うようにしましょう。

8: 足場材の受け渡し

足場材を受け渡す際には、落下防止対策を徹底し、作業員の安全を確保する必要があります。
足場材の受け渡しは、安全な方法で、複数人で協力して行うようにしましょう。

9: 材料、器具、工具等の上げ下げ

材料、器具、工具等を上げ下げする際には、つり綱やつり袋等を使用し、落下防止対策を徹底する必要があります。
また、作業員が、これらの荷物を直接持ち上げて運搬しないように、適切な方法で運搬する必要があります。

□まとめ

労働基準法改正により、建設現場における足場の設置基準は厳格化され、安全対策の強化が求められています。
2024年4月以降、原則として本足場の使用が義務化され、2025年10月1日からは足場点検時の点検者指名と記録保存も義務化されます。

本記事では、これらの改正内容を踏まえ、現場での安全対策を徹底的に理解することで、作業員の安全確保と法令遵守を支援することを目的として、具体的なポイントを解説しました。
現場では、労働安全衛生法の改正内容を理解し、法令遵守を徹底するとともに、安全対策を強化することで、作業員の安全確保を図る必要があります。

今後も、建設現場における安全対策は、常に進化していくことが予想されます。
最新の安全基準や技術情報などを積極的に収集し、現場の安全管理体制を強化していくことが重要です。


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