マンションオーナーで、修繕工事に関する不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
区分所有者の権利やトラブル回避方法、修繕工事の決議方法などを知りたい気持ちはよく分かります。
この記事では、マンション区分所有法と決議方法、区分所有者とのトラブル対処方について解説します。
□マンション区分所有法と修繕工事
マンションは、区分所有という制度に基づいて管理されています。
区分所有とは、マンション全体を「共用部分」と各住戸である「専有部分」に分けて、それぞれの所有権を区分して所有する制度です。
区分所有者の権利を理解することは、修繕工事に関するトラブルを回避するために非常に重要です。
1: 区分所有法における権利と義務
区分所有法では、区分所有者には様々な権利と義務が定められています。
1:1. 権利
・専有部分の所有と利用
自分の住戸である専有部分について、自由に所有し、利用することができます。
・共用部分の利用
エントランスや廊下、エレベーターなどの共用部分も、区分所有者全員で共有し、利用することができます。
・管理組合への参加
マンションの管理運営を行う管理組合に、区分所有者として参加することができます。
・総会での議決権
管理組合の総会で、議決権を行使することができます。
・管理規約の変更に関する権利
管理規約の変更について、意見を述べ、賛否を表明することができます。
1:2. 義務
・管理費・修繕積立金の支払い
共用部分の維持管理費用として、管理費と修繕積立金を支払う義務があります。
・管理規約の遵守
マンションの円滑な運営を図るため、管理規約を遵守する義務があります。
・修繕工事への協力
共用部分の修繕工事など、マンション全体の維持管理に必要な協力をする義務があります。
2: 修繕工事における区分所有者の役割
マンションの修繕工事は、区分所有者全員で協力して行うものです。
区分所有者は、以下の役割を担います。
2:1. 修繕工事の計画段階への参加
修繕工事の内容や費用について、管理組合が説明を行い、区分所有者には意見を述べてもらいます。
そして、修繕工事の計画に対して、区分所有者は賛否を表明します。
2:2. 修繕工事の実施段階への協力
区分所有者は、工事期間中、工事の音や振動など、一定の不便を我慢する必要があります。
そして、工事の安全確保のために、指示に従う必要があります。
2:3. 修繕費用の負担
修繕工事の費用は、区分所有者全員で負担します。
負担割合は、一般的に専有部分の床面積に応じて決められます。
3: 管理組合との連携
修繕工事は、管理組合が中心となって行います。
区分所有者と管理組合が密接に連携することで、スムーズな修繕工事の実施につながります。
区分所有者は、修繕工事の内容や費用について、疑問点や要望があれば、管理組合に意見を表明しましょう。
そして、管理組合は、区分所有者の意見を参考に、修繕工事の計画を進めることが大切です。
□マンション修繕工事における決議方法
マンションの修繕工事を行うためには、区分所有者全員の合意を得る必要があります。
合意を得るための方法として、マンションの管理組合総会での決議があります。
総会での決議には、「普通決議」と「特別決議」の2種類があります。
1: 普通決議
普通決議は、総会に出席した区分所有者の過半数が賛成すれば可決されます。
日常的な管理運営に関する事項、例えば、管理費の改定や理事の選任など、重要度の低い事項に対して用いられます。
大規模修繕工事の場合、共用部分に元々あった設備を大きく変更せずに修繕するような小規模の工事であれば、普通決議で承認することができます。
2: 特別決議
特別決議は、区分所有者総数の4分の3以上かつ議決権総数の4分の3以上の賛成が必要となります。
管理規約の改正や廃止、共用部分の形状や効用を大きく変更させるような大規模な修繕工事など、重要度の高い事項に対して用いられます。
例えば、建物の外壁を全面的に改修する工事や、エレベーターを新設する工事など、マンション全体の価値に大きな影響を与えるような工事は、特別決議で承認する必要があります。
3: 大規模修繕工事における注意点
大規模修繕工事は、高額な費用がかかるため、事前にしっかりと計画を立て、区分所有者の理解を得ることが重要です。
修繕工事の内容や費用、工事期間などについて、分かりやすく説明し、疑問点や不安を解消するよう努めましょう。
区分所有者からの意見を積極的に聞き取り、納得のいく形で修繕工事を進めることが大切です。
□修繕工事への協力が得られない場合の対処法
マンションの修繕工事では、時に全区分所有者の協力が得られない場合があります。
このような場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
1: 話し合いによる解決
まず、話し合いで解決を目指しましょう。
管理組合は、工事の内容や必要性を丁寧に説明し、区分所有者の理解を得るように努めましょう。
区分所有者からの意見や不安を真摯に受け止め、可能な範囲で対応しましょう。
2: 法的手続による解決
話し合いで解決できない場合は、法的手続を検討する必要があるかもしれません。
区分所有法では、修繕工事への協力義務が定められています。
そのため、区分所有者が協力義務を履行しない場合は、管理組合は裁判所に訴えることができます。
3: 弁護士費用負担に関する管理規約の確認
法的手続を検討する場合は、弁護士費用が発生します。
弁護士費用は、一般的に管理組合が負担しますが、管理規約によっては、区分所有者が負担する場合もあります。
修繕工事に関するトラブルが発生した場合、管理規約の内容をよく確認しましょう。
4: 工事妨害禁止の仮処分
区分所有者が修繕工事を妨害する場合は、管理組合は裁判所に「工事妨害禁止の仮処分」を申し立てることができます。
仮処分とは、裁判所の判断によって、一時的に工事の妨害行為を禁止する制度です。
仮処分が認められると、区分所有者は修繕工事を妨害することができなくなります。
□まとめ
マンション区分所有者は、修繕工事に関する知識をしっかり身につけることで、トラブルを回避し、円滑なマンション管理を実現することができます。
区分所有法に基づく権利義務を理解し、連携を密にすることで、スムーズな修繕工事を行えます。
修繕工事への協力が得られない場合は、話し合いで解決を目指し、必要であれば法的手続も検討しましょう。
オーナーは、管理規約をよく確認し、弁護士費用負担などの条件を把握しておくことも重要です。
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