大規模修繕を検討し、本格的に計画を進める段階になると、多くの方が「困った」と感じられるのが大規模修繕業者の選び方です。
どの施工業者へ依頼するのかは、工事の出来映えや耐久性を左右します。特にマンションの場合ですと、工事前から工事中にかけて発生しやすい入居者からのクレームの頻度にも影響します。
そのため、「もうわからないから、この安い業者でいいか」と選んでしまうと、
・こんなはずじゃなかった
・もっと慎重に選んでおけば
・クレームが多くてやってられない
このような後悔が起こってしまうことも考えられます。そこで今回は、大規模修繕工事の業者を賢く選ぶ方法について解説していきます。
1: 契約方式を知っておきましょう
はじめに、大規模修繕工事を契約するとき、知っておきたい契約方式についてお話します。それぞれの契約方式にはメリット・デメリットがあります。
要望されている内容に、どの契約方式がフィットするのか考えていただきたいと思います。
(1)責任施工方式
責任施工方式とは「工事業者へお任せ」という方式です。腕の良い施工業者を見つけた場合は、この契約方式がおすすめです。施工業者もプライドと技術をフルに活用して、大規模修繕工事を成功させてくれるはずです。
反対に、いい業者が見つけられていないまま、この契約方式を選んでしまうと、工事が失敗することや、工事前から工事中にかけてクレームが続出するということも考えられます。
責任施工方式は、選んだ業者の経験・技術・知識に大きく影響されます。
(2)管理会社施工方式
文字通り、管理会社に施工を頼む方法です。大規模修繕工事では、一般的な方法だと言えるでしょう。
この方法の良いところは、業者選びから施工管理まで全てを管理会社が引き受けてくれるため、管理組合や修繕工事委員会の負担がかなり軽くなることです。
また、工事についての計画や施工状況などの確認も、管理会社という窓口に集約されているため、普段のやりとりもシンプルで簡単になります。
さらに、工事後のフォローは、これまで付き合いのあった管理会社が行いますので、万が一不具合が見つかった場合でも、管理会社へ伝えるだけで良いというメリットもあります。
反対にデメリットもありますのでお話していきます。ひとつは、管理会社に任せることで実際に施工する業者を選ぶことができません。そのため業者選びにおける競争原理が働かなくなり、どうしても施工費用がかなり高くなるケースが多いです。
もうひとつは、実際に施工する業者を選ぶのは管理会社ですから、建物をお持ちの方にとっては、どのような実績や経験・技術を持った業者が工事をするのは全くわかりません。
そのため、普段の仕事ぶりをチェックすることも難しくなりますし、そもそも正しい修繕工事をしているのかどうか、管理組合の方もわからないまま進んでいくということにもなりかねません。
(3)設計監理方式
設計監理方式というのは、まず、あなたのパートナーである「コンサルタント」を決定します。そして、コンサルタントからのアドバイスを受けながら、一緒に施工業者を選んでいきます。
経験豊富で工事について理解が深いコンサルタントと出会えると、最小限の費用で適切な修繕工事を実施できます。
また、現状調査や設計、工事の監理などは、コンサルタントを含めて第三者が行いますので、品質も保たれやすくなります。
反対にデメリットとしては、コンサルタント費用が増えてしまうためトータルで考えると割高になる傾向が強いです。
まれに、コンサルタントが知り合いの施工業者を紹介し、公正な視点で業者を選ばないという問題もあります。
すべてにおいて言えることですが、どの契約方式を選ぶにしても、自分たちで最低限のチェックは行うべきだと思います。資料や見積もり、工事内容や計画、最終的な費用などを確認しておきましょう。
管理組合や修繕工事委員会が細かくチェックするということが伝われば、手抜き工事やかさ増しした見積もり、追加工事の多い請求などを抑制することにつながります。
2: 業者にも種類があります
つづいて大規模修繕工事を行う業者の種類をお話します。一般的には次の3つの種類があります。
(1)総合建設業者
ゼネコンと呼ばれる業者です。営業、技術、経理など豊富な人材と組織力がウリです。そのため難易度の高い大型物件案件などの対応力も高いことが多いです。
しかし、知っておいていただきたいのは、ゼネコンは自分たちで実際に工事をすることは「ほとんどない」という事実でしょう。現実的には、下請け業者に工事を任せることになります。
そのため総合建設業者へ依頼する場合は、元請け会社の統率力や現場監督力の有無が結果に影響してきます。
(2)専門工事業者
専門分野の工事を行う業者です。例えば、外壁塗装、屋根塗装、防水工事、内装、外構などがあります。
専門分野の工事業者ですから、最も技術力も高く、施工実績が豊富なら安心して任せることができるでしょう。
ただし、現場での仕事は得意で技術力も高いですが、総合的な工事監理は苦手。そんなところもあります。
(3)マンション管理会社
既にお願いされている管理会社です。日常の保守点検や修繕を継続的にやってくださっているはずです。
管理会社は、何年も建物を見てきていますので、どのような構造になっているか、どの部分に大きな修繕が必要かなど熟知しているはずです。これは大きな強みになります。
そのため管理会社へ依頼されるところもありますが、管理会社によっては大規模修繕は苦手というところもあります。
どのくらいの規模まで対応できるのか、先に知っておくと安心です。
3: 施工業者を賢く選ぶポイント
大規模修繕業者を選ぶポイントを見ていきます。
(1)同規模案件の実績
最も大切なのは、修繕しようと考えている内容について、同規模案件の実績を持っているかどうかです。
50戸以上の規模が得意なのか、100戸以上の規模が得意なのか。それとも6戸くらいのハイツ型賃貸が得意なのか。
業者によって得手不得手は必ずあります。同規模の修繕実績を持っている規模の業者を選びましょう。
(2)業者の経営状況
経営状態に余裕がないと次のようなことも発生します。
・工事の途中で業者が破産し、中断したままになる
・手抜き工事で、すぐに具合が悪くなる
・イライラしがちなので、近隣住民や入居者とトラブルになりやすい
相談や打ち合わせのとき、業者の態度を観察しましょう。余裕をもった態度なら、経営状態も安定している可能性が高いです。
反対に、
・なんでもやります!
・安くできます!
・忙しいので今すぐ決めてください!
このような対応が目に付くようなら、経営状態を確認しておきましょう。
(3)担当者
下請け業者が工事にやってくる。ある程度は仕方の無いことです。というのも、職人も得意なこと、そうでないことがあります。そのためスポット的に得意な職人に手伝ってもらうこともあるからです。
そのため大事になってくるのが、元請け担当者の徹底管理能力です。
・誰が現場を管理するのか
・工事中の窓口は誰なのか
・工事計画を把握しているのは誰なのか
明確にしておくと安心です。また、先に「このようになっています」ときっちりと報告してくれる業者だと安心です。
(4)見積金額
どの契約方式にするのかによりますが、可能なら2~3社から見積もりを提示してもらいましょう。
この時に注意することは、見積もりを依頼する業者には、「必ず同じ条件」を伝えることです。
間違っても、業者によって条件を変えてはいけません。条件が変わると見積もりの内容も変わりますので、正しく比較することが難しくなります。
・予算
・工期
・修繕内容
これらは一致させましょう。工法が異なれば見積価格も変動します。
(5)品質保証
工事が終わってからの保証はどうなっているのか。契約前に確認することが重要です。万が一のために、保証書など書面に残る形にしておくとトラブルになりにくいです。
4: まとめ
大規模修繕工事は業者選びの段階で成功するか失敗するかが、ほぼ決まっていると言っても過言ではありません。
まずは契約方式と業者の種類から考えてみてください。管理組合や委員会のメンバーによっては、すべてお任せでないと進められないこともあります。反対に、時間にゆとりのある方がメンバーであれば、現場監理までやってくれる専門工事業者がおすすめです。
今回の内容を参考に、賢く業者を選んでください。お近くに相談する業者やコンサルタント、管理会社がいらっしゃらない場合は、株式会社 泉までご相談ください。
目利きの職人と代表が、豊富な経験と技術と実績を元に、大規模修繕工事について適切なアドバイスをさせていただきます。
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