マンションの大規模改修工事を検討されるとき、普段はあまり足を運ばないため目に触れづらい屋上の防水工事を忘れてしまわれるケースがあります。

しかし、マンションの屋上防水工事は、建物全体へのダメージを招く原因にもなりかねないため重要なポイントになってきます。

今回はマンションやビルなどの屋上防水について解説していきます。

1: マンションやビルの屋上防水工事が必要な理由

マンションやビルの屋上防水工事が必要な理由からお話します。

(1)漏水

屋上防水が劣化したり不具合が起こったまま放置されていたりすると、雨水が少しずつ浸透し、室内天井裏への漏水や下階への漏水、最悪な状態としてはマンションやビルの骨格であるコンクリート躯体内部の鉄筋に錆が発生する原因にもなりかねません。

屋上からの漏水は、室内内部へ雨水が浸透するため、少しずつコンクリート内部に浸透し、どちらの方向へ被害が進んでいくのか発見するのが難しいものです。そのため、漏水が進んでしまうと、雨水が入っている部分だけではなく、思ってもいなかった部分にまで被害が拡大し、改修工事の規模が大きくなってしまう。そんなこともあります。

(2)劣化

建物の骨格であるコンクリート部分に雨水が浸透すると、ほんのわずかなひび割れから水が浸入し鉄骨部分に錆が発生するケースも考えられます。もし、このように内部の鉄骨部分に錆が発生すると鉄骨の体積が少しずつ増えますので、最後には鉄骨を覆っているコンクリートへ必要の無い力がかかり、コンクリートそのものを劣化させてしまうこともあります。場合によってはコンクリート落下が起こる可能性もあります。

(3)構造へのダメージ

漏水や劣化が進むと、建物全体の信頼性や安全性に疑問が出てきます。しかし、構造部分へのダメージを改修するとなると、屋上の防水工事とは比べものにならない費用と工期が必要になるでしょうし、場合によっては居住者へ多大な不便を掛けることになるかもしれません。

このようなことはご自身のマンションやビルには起こらないとおっしゃる方もいらっしゃいます。しかし、建物は自然の中に建築されていますから、紫外線や刻々と変化する気候や温度、雨や台風や地震の影響によって「いつ自分の建物に起こってもおかしくない」と考えるのが自然だと私は考えています。

2: 屋上防水工事が必要なサインとは

あまり足を運ばない屋上ですが管理業務などで屋上へ入ったときに、屋上防水工事が必要になっているのかどうか、次のサインを見逃さないようにしましょう。

(1)水が溜まっている

晴れた日に屋上へ上がったのに、屋上の一部分だけ水たまりがある。または、水たまりが最近まであった跡が残っている。どちらも水がはじいていないということです。

こういう場合、屋上防水工事を検討するタイミングです。というのも、水が溜まっているということは、溜まった部分の防水性能が劣化しやすいということです。放っておくと防水層の劣化が早まり、屋上の下や下階の住居スペース、廊下や階段などに雨漏りが始まる可能性もあります。

(2)排水まわりのつまり

屋上を頻繁に掃除されることは少ないと思います。そのため、風で飛ばされてきた砂や土が屋上の隅に溜まってしまい、排水溝が詰まっているということもあります。

まれにですが、砂や土が溜まったところから雑草が生えていることもあります。雑草が伸びると屋上の防水層を突き破り、根を張ってしまうことがあります。このようになると引き抜くことも難しくなります。ということは、防水性能が低下していますので漏水が始まりやすいということになります。

また、排水口付近に砂や土、ゴミが溜まることで適切に排水できなくなり、屋上の隅部分に水たまりが出来やすくなることもあります。雨水が溜まりやすくなると防水層の劣化は進みやすくなるため、こういったケースでも漏水が発生しやすくなります。

(3)ひび割れ

大変わかりやすいサインです。屋上を見たときに「ひび割れ」「防水層のひび割れや防水シートのめくれ」が見つかったときは、早急に屋上防水工事を検討するタイミングです。

防水層のひび割れや防水シートの捲れは、その部分に雨水が浸透しやすくなるため、放っておいて良いことは何もありません。

(4)劣化している

屋上全体が劣化している。シーリング部分が劣化している。劣化が目に見えているのなら屋上防水工事のタイミングです。

いくら屋上の平面部分の防水層がしっかりしていても、笠木やシーリング部分に劣化が始まっていたら漏水する可能性が出てきます。

3: 大規模改修で知っておきたい屋上防水工事の種類

屋上防水工事の種類についてお話します。様々な方法がありますので、施工箇所によって選んで頂きたいと思います。

(1)ウレタン防水工事

一般的な防水工事の方法です。改修工事も比較的簡単にできますので、工期や費用を抑えやすいのもメリットです。

ただし、施工後の耐久性を高めるためには、定期的なトップ部分の塗り替えが必要になります。低コストで工事はできますが定期メンテナンスの必要性も同時に考えておきましょう。屋上の形状が複雑な場合にもウレタン塗膜防水ですので簡易に施工できます。

(2)塩ビシート防水工事

屋上に防水シートを貼る工事です。安価なゴムシートから耐久性の高い塩ビシートまで、用途によって様々なものが選べます。既存の下地の影響を受けにくい工法の機械的工法などもあります。

工事期間も他の防水工事よりも比較的短いため、短期間で工事を終わらせたい方におすすめです。耐久性能も長寿命ですが複雑な形状の屋上には不向きです。

(3)FRP防水工事

ガラス繊維で補強された、軽量で強靱、耐久性も高いFRPという素材を使った防水工事です。
性能は大変良いのですが、FRPはプラスチックの仲間なので伸縮性がありません。地震などで建物に変化があると「ひび割れ」を起こしやすいというデメリットがあります。

(4)アスファルト防水工事

熱工法や冷工法やトーチ工法やBANKS工法など 歴史が長く信頼性の高い防水工法から新技術防水工法にて環境の負担が少ない防水工法まで 多種多様にあります。
アスファルト防水工事の耐久性は15年~25年程度と長い耐久性能があります。
コストは高めとなります。

4: 屋上防水の耐用年数と費用目安

それでは気になる耐用年数と費用目安についてお話します。

(1)耐用年数

私たちもお客様から耐用年数を聞かれます。「○○年大丈夫です!」と言えれば良いのですが、防水の耐用年数は次の条件によって変わってきます。

・施工内容(業者の技術力など)
・防水工法
・防水工法や既存防水層の状態
・現状の劣化状態や屋上の形状により

お客様の希望を業者へ相談していただき、コストと耐用年数のバランスが良い方法を選んでいただきたいと思います。

(2)費用目安

防水素材や面積によって費用は変化します。あくまでも目安としては次のようになります。

・ウレタン防水:3000円~5000円/平米
・シート防水:4000円~7000円/平米
・FRP防水:5000円~8000円/平米
・アスファルト防水:6000円~8000円/平米

防水工事は下地の修繕なども必要になることがありますので、必ず現地調査を行ってもらうようにしてください。その上で見積もりを依頼することが大切です。

現地調査もしていないのに、費用や工期を出してくる業者は危険です。工事が始まってから、または、終わってから「追加費用」を請求される可能性もありますし、費用と工期に見合うような防水工事しかやらない可能性もあります。

5: まとめ

マンションの屋上防水工事は資産価値を維持するためにも大切です。しかし、普段はあまり目にしないため放ったままになっていることもあります。

ぜひ外壁塗装を検討されるタイミングや、マンションの設備管理を点検されるタイミングで屋上を見ていただきたいと思います。

漏水が確認されてからでは、防水工事だけで終わらないかもしれません。早めの調査でいつまでも快適なマンションを提供しましょう。


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